直感と実際
 
 人間が行動を起こす場合には,よく考えてから行動するときよりも、直感的に行動することが多いと思う。ところが、その行動に知識がないときには直感とした行動の結果が、そうしたいと思っていることと逆になることがある。
ゴルフで球を出来るだけ遠くに飛ばそうとしているときにもそうである。当然,球を遠くに飛ばすにはボールにヘッドが当たる瞬間にへッドの速度を出来るだけ大きくしなければならない。ゴルフのクラブは細い棒の先に重量の大きいへッドがついている構造であるから,振子と同じである。クレーンで荷を吊っていて荷が大きく揺れたときには,運転手はふれを止めるために荷が揺れる方向に支点を動かす。
 ところが初心のゴルファーは,直感的に手をふれば球が達くに飛ぶと思って手を早く振る。クラブを引き下ろす段階では手を早くすることも必要だが、クラブが球に当たるときには手はむしろ止まってなければ,へッドの速度を増すことは出来ない。 このことは,金槌で釘を打つときにも同じである。
町場の鳶職の人たちが梯子乗りをするときに教えられることにも同様のことがある。それは,「梯子が揺れたら揺れる方に手を伸ばせ」というものである。
 これも直感的には,逆のように思えるが,振子の原理とおなじでこうすると揺れが止まるのである。
 原理的には少し違うが,スキーをするときに右側に邪魔者があるので避けようとして体を左に寄せるとますますスキーは右に行くということもある。
 やはり,そのみちのプロの教えを守ることは大切である。